北アメリカ大陸にあるカナダは世界で2番目に広い国土を持つ国で、国土の大半は針葉樹林帯やツンドラ地帯です。人口の多くが南部に集中していますが、住民はヨーロッパ系を中心に多くの民族からなる多民族国家になっています。
そんなカナダについて、文化や自然環境を中心に地理的特徴をまとめていきます。
カナダの国土と住民
カナダの面積は998万㎢で日本の約27倍に当たります。ただ、北極海の沿岸は寒帯のツンドラ地帯、その南にはタイガと呼ばれる広大な針葉樹林帯が広がっており、人口はアメリカ合衆国との国境に近い南部に集中し、3700万人と日本の3分の1強で、人口密度は4人/㎢と非常に低い数値になっています。
アメリカ合衆国と同様に移民国家と言われるカナダですが、住民を民族的に見てみるとイギリス系やフランス系を中心にしたヨーロッパ系が主体で、先住民(イヌイットやインディアン)も5.6%を占め、他にアジア系やラテンアメリカ系、黒人も居住し、多民族で構成されています。
多文化主義の国カナダ
かつてイギリスとフランスが植民地争いをした歴史があるカナダは、セントローレンス川から入植したフランス人が植民都市ケベックやモントリオールを建設しました。現在でもケベック州はフランス系の住民が約8割を占め、フランス語文化圏になっています。
カナダ全体ではイギリス系が主体で英語を話す人の多い英語圏の国ですが、ケベック州だけはフランス語が中心なのです。そのため、しばしばケベック州の分離独立運動がさかんになりますが、カナダ政府はフランス語を英語とともにカナダの公用語にするなど融和策をとってその独立運動を抑えてきました。
多くの民族が居住するカナダでは、それぞれ異なる文化を持つ民族を対等に扱う「多文化主義」を掲げています。かつてカナダの国旗にはユニオンジャックが描かれていましたが、現在の国旗はカナダを象徴したカエデの葉を描いたデザインに変わっています。なお、カエデは針葉樹ではなく落葉広葉樹なので注意しましょう。
また、先住民のイヌイットが多く居住する北極海沿岸に、自治権を認めるヌナブト準州が1999年に設置されたのも多文化主義の表れです。ヌナブトとはイヌイットの言葉で「自分たちの土地」を意味しています。
3区分されるカナダの地形
地図帳でカナダを見ると湖が多いことに気づきます。これはかつてカナダ全体が氷河に覆われていたことが要因で、これらの湖は氷河の侵食による凹地に水が溜まった氷河湖なのです。アメリカ合衆国との境にある五大湖も氷河湖の一種です。
カナダの地形は大きく3つに分類され、東部は大きなハドソン湾を中心に周囲へ緩やかに傾斜するカナダ楯状地と呼ばれる古い陸地が広がって安定した地殻構造です。
中部には古い陸地と地層が侵食された中央平原のプレーリーがアメリカから続き、西部にはやはりロッキー山脈がアメリカから続いて太平洋岸の海岸山地とともに新期造山帯に属する険しい山地を形成しています。なお、カナディアンロッキーの一部は世界自然遺産に登録され、すばらしい手つかずの大自然が残っています。
カナダの大半は冷帯(亜寒帯)の気候
カナダの国土は気候区分ではほとんどが冷帯(亜寒帯)湿潤気候に属しており、タイガと呼ばれる大針葉樹林帯が広がっています。北部の北極海沿岸では寒帯のツンドラ気候、西部の太平洋に面した海岸地帯では温帯の西岸海洋性気候や地中海性気候が分布します。
冷帯は気温の年較差が大きいことが特徴ですが、カナダ最大の都市モントリオールでは夏は20℃を超える一方冬はマイナス10℃近くに下がり、年較差が30度を上回ります。冬は厳しい寒さで降雪量も多くなり、セントローレンス川や五大湖も凍結し、凍った川の上を歩いたり車を走らせたりする光景も見られます。
これに対して太平洋岸南部のバンクーバーでは、最も寒い1月の平均気温が4.1℃と温暖で、夏は7月の平均気温が18.0℃と冷涼です。
すなわちモントリオールは大陸性気候、バンクーバーは海洋性気候と対照的な気候になっているわけです。ちなみにバンクーバーは地中海性気候で夏の降水量が少ないのが特徴です。
カナダは資源大国
国土の広いカナダは多くの地下資源に恵まれています。東部の古い陸地には鉄鉱石、西部の新しい陸地には石油や天然ガスを多く産出し、いずれも世界上位の産出と輸出を誇っています。
その他、カナダには先端技術産業には欠かせないレアメタルと呼ばれる希少金属を多く産出し、ニッケル、コバルト、パラジウム、タングステンなどが世界上位で、これらのレアメタルを産出しない日本にとってはうらやましいかぎりです。
地下資源や森林資源に恵まれたカナダでは工業もさかんで、機械、自動車、パルプ・製紙工業などが発達し、隣国アメリカ合衆国との貿易がさかんです。輸出額の約4分の3、輸入額の約2分の1(2017年)がアメリカとの貿易になっています。
中部平原は小麦の大産地
中部平原に広がるプレーリーの草原地帯では小麦の生産が大規模に行われ、アメリカ合衆国から続く春小麦地帯になっています。
世界第4位(2016年)の生産量を誇りますが、その約3分の2は輸出され輸出量も世界第3位(2016年)で、日本はアメリカ合衆国とともにカナダからも多く小麦を輸入しています。
カナダの地理要点まとめ
- 世界第2位の広い国土の大半はタイガの針葉樹林帯と北極海沿岸のツンドラ地帯で人口密度は低い。
- 住民はイギリス系、フランス系などのヨーロッパ系を中心にアジア系、先住民などの多民族国家。
- フランス系の多い東部ケベック州ではしばしば独立運動が強くなる。
- 多文化主義を提唱し、英語とフランス語が公用語でイヌイット居住地にヌナブト準州を設置。
- 地形は東部の古大陸の楯状地、中部の平原地帯、西部の新期造山帯の3つに区分される。
- 気候はほとんどが冷帯(亜寒帯)で冬の寒さが厳しいが、西部太平洋岸は温帯が分布する。
- 鉄鉱石、石油、天然ガス、レアメタルなどの資源大国で、農業では中部平原で生産される小麦が世界的。
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