東南アジアのマレー半島先端部にある小さな島国がシンガポールです。
中継貿易で栄えた歴史がありますが、現在でも貿易立国、工業国として経済発展がめざましく、東南アジア一の経済大国でもあります。
そんなシンガポールについて、経済だけでなく、気候や宗教、文化を含めて地理的特徴をまとめていきます。
シンガポールの歴史と国土




シンガポールは19世紀以来イギリスの植民地となり中継貿易港として栄えました。1959年に自治州となった後にマレーシア連邦に加わりましたが、中国人の多かったシンガポールはマレー人優先政策をとるマレーシアと対立し1965年に分離独立しました。
狭いジョホール海峡によってマレーシアと隔たる島国で堤防や橋でマレーシアと結ばれています。シンガポール本島と付属の小さな島々からなり面積は719㎢と日本の奄美大島と同じぐらいの大きさです。
人口は約580万人で島全体が一つの都市になっている都市国家の形態のため、人口密度は非常に高く約8000人/㎢と世界第2位の数字です。
シンガポールの気候は赤道直下の熱帯雨林気候
北緯1度とほぼ赤道直下に位置するシンガポールは、年中高温多雨の熱帯雨林気候に属し、年平均気温は27.6℃で年降水量は2200mmといずれも高い数値を示します。教科書では必ず熱帯雨林気候の代表的都市としてグラフが登場します。
本来は文字通り熱帯の密林が生い茂る植生でしたが、貿易で発展する中で島全体の開発が進んでほとんど都市化され、現在では4つの自然保護区にその名残りをとどめています。
中国系住民を主体とする多民族国家
民族構成は中国からの移民である華僑の子孫の華人、すなわち中国系が約4分の3を占めています。次いでマレー系が13%、インド系タミル人が9%となっています。この3つの民族で構成されるのは隣国のマレーシアも同じなのですが、シンガポールは中国系が中心であるところが特徴です。
マレーシアではマレー語だけを公用語にしていますが、シンガポールでは中国語、マレー語、タミル語を全て平等扱いとして公用語にしており、さらに英語を加えた四つの公用語を持つ多言語国家です。
学校でもこれらの公用語を全て教えますが、貿易で栄えるシンガポールでは英語教育を重視しており、各民族語の授業以外の多くは英語で行われています。
多民族国家ならではの宗教と食文化
中国系住民は仏教徒が多く全体の約3分の1を占めており、道教の信仰者も約1割います。マレー人はイスラム教、タミル人はヒンドゥー教を信仰しており、やはり民族ごとに信仰する宗教が異なっていますが、キリスト教も18%と多く信仰されています。
言語や宗教と同じく多彩なのが料理ということになります。華僑の出身地である華南系中国料理の海南チキンライス、豚のあばら肉を用いたバクテー(肉骨茶)と呼ばれるマレーのスープ料理、タミル人出身地の南インド系の料理で魚の頭部を煮込んであるその名もフィッシュヘッドカレーなどが代表的なシンガポール料理ということになります。




シンガポールでは町のいたる所にフードコートやホーカーセンターと呼ばれる外食店の集まった広場があり、これらの料理が提供されています。農業がほとんど行われず食料を輸入するシンガポールでは、貿易の国らしく男女を問わず商業やサービス業など第三次産業に従事する人が多いこともあって、自炊して家庭料理を味わうよりも外食文化の方が強く浸透しています。
中継貿易から加工貿易の国へ
中継貿易で栄えたシンガポールは国際的な信用度が高く、現在では国際金融センターとして世界の金融取引の中心地にもなっています。
そして、近年は中継貿易だけでなく、原料を輸入して製品を輸出する加工貿易がさかんになり、工業生産も大きく伸びています。
工業では機械工業の他、埋立地に造られた石油精製基地のジュロン工業団地に石油化学工業が発達し、シンガポールの輸出品は機械類や石油製品、石油化学製品がほとんどを占めています。
シンガポール港のコンテナ取扱量は中国のシャンハイに次いで世界第2位と多く、1人当たりのGNI(国民総所得)が世界有数で日本を上回っていることも含めて、シンガポールが貿易立国であることをよく示しています。
小さい国にもかかわらず、貿易額がASEAN(東南アジア諸国連合)諸国では最も多く、世界でも第15位(2017年)ということもその証しです。
シンガポールの地理要点まとめ
- 19世紀のイギリス植民地以来、中継貿易で栄えた歴史があり、1965年にマレーシア連邦から分離独立。
- マレー半島の南端にある小さい島国で都市国家を形成し、人口密度は世界第2位。
- ほぼ赤道直下に位置し、気候は年中高温多雨の熱帯雨林気候。
- 民族構成は4分の3を占める中国系の他、マレー系、インド系タミル人などからなる多民族国家。
- 中国語、マレー語、タミル語に英語を加えた4公用語制で、英語教育を重視している。
- 宗教も仏教、イスラム教、ヒンドゥー教と民族で異なり、料理も各民族料理に特徴がある。
- 中継貿易に加え石油製品など加工貿易が発達し、国際金融センターとしての機能もある。
- シンガポール港のコンテナ取扱量が世界第2位の貿易立国で、1人当たりのGNI(国民総所得)は世界有数。
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