中学地理分野の学習をしていると、偏西風と季節風という言葉が出てきますね。
似ている言葉なので、知識があいまいになっているっていう方も多いはず。
ってことで、今回の記事ではそれぞれの違いについて解説していきます。
まず、気候の説明で必ず出てくるのが季節風という言葉です。
日本も含めてアジアの国の気候と関連付けて出てきます。
偏西風というのは、ヨーロッパの気候の説明で出てくる言葉です。
日本の気候の説明では偏西風という言葉は出てきません。
偏西風は緯度40度~60度を中心とした中緯度地方において、年中西寄りの方向に吹く風で、海洋部から大陸西部に上陸します。
季節風はモンスーンとも呼ばれ、インドや東南アジア、日本などアジア東部において、冬と夏で風向きが正反対になる風で、大陸部と海洋部の温度や気圧の差によって吹く風です。
【偏西風】
ヨーロッパの気候と関連して出てくる言葉。緯度40度~60度を中心とした中緯度地方において、年中西寄りの方向に吹く風で、海洋部から大陸西部に上陸します。
【季節風(モンスーン)】
日本を含めアジアの気候と関連して出てくる言葉。インドや東南アジア、日本などアジア東部において、冬と夏で風向きが正反対になる風で、大陸部と海洋部の温度や気圧の差によって吹く風。
偏西風の吹く地域と気候の特徴
偏西風が典型的に吹く地域は、北緯40度~60度付近のヨーロッパの中部から北部にかけてです。
緯度30度付近に年中位置する大西洋の高気圧から、西寄りの風すなわち偏西風が1年を通してヨーロッパに吹いてくるのです。
ただ、実際には1年中毎日のように西風が吹くわけではなく、西風の確率が高いというイメージです。
この偏西風が大西洋の湿った空気を年中もたらすので、年中一定した降水量になりやすいのです。ただし、日本ほど降水量は多くありません。
また、暖流の北大西洋海流もほぼ同じ方向に流れているため、温かい空気をもたらし、冬でも温暖になります。もともと日本より高緯度に位置するので夏は比較的涼しく、結果的に気温の年較差が小さくなるんだ。
このように偏西風の影響で、降水量や気温の年較差が小さくなる気候が西岸海洋性気候です。
同じように偏西風が吹いて西岸海洋性気候が見られる地域としては、南半球のニュージーランも有名です。ニュージーランドは南緯40度付近に位置し、国土全体が西岸海洋性気候になっている温和な国です。
季節風の吹く地域と気候の特徴
季節風が典型的に吹く地域は、西はインド付近から東は日本にかけてのアジア東部で、モンスーンアジアとも呼ばれる地域です。
大陸の幅が広いユーラシア大陸東部とインド洋、太平洋が向かい合う形で位置するのがアジア東部なんだ。
海洋部にくらべて、大陸部の方が夏は暖まりやすく冬は冷えやすいという気候の特徴が、大陸部と海洋部の気温の差とそれに伴う気圧の差を生み出し、夏は海洋部の高気圧から、冬は大陸の高気圧から風が吹き出し、夏と冬の風向きが正反対になります。
日本では夏は南東季節風、冬は北西季節風になり、夏は太平洋からの湿った空気の影響で太平洋側を中心に降水量が多くなり、冬は大陸からの季節風が日本海の湿った空気を運んできて日本海側に降雪をもたらします。
インドや東南アジアでは、夏は南西季節風となり降水量が非常に多くなります。一方、冬は大陸からの北東季節風のため降水量が少なくなり、雨季と乾季がはっきり分かれる気候になっています。
日本とインドでは季節風の向きが違うことに注意しよう!
偏西風と季節風の違いまとめ
それでは、最後に偏西風と季節風の違いをもう一度整理しておきましょう。
偏西風は緯度40度~60度の中緯度地方において年中吹く西寄りの風で、
中部ヨーロッパを中心に西岸海洋性気候をもたらします。
季節風はアジア東部において、夏は海洋部から冬は大陸部から吹き出して、風向きが正反対になる風で、
日本では夏は南東季節風、冬は北西季節風、
インドでは夏は南西季節風、冬は北東季節風になります。
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