みなさんは、基本的人権の5つの種類を知っていますか?
それは、「平等権」、「自由権」、「社会権」、「参政権」、「請求権」です。
これらはすべての人が無条件にもっている権利です。
一人一人をかけがえのない存在として大切にし、人がその人らしく生きていくために必要なものなのです。
今回は、5つの基本的人権について詳しく解説していきます!
平等権
平等権は、人はだれでも個人として尊重され、平等なあつかいを受ける権利です。
日本国憲法第14条をみてみましょう。
「第14条 ① すべて国民は、法の下に平等(※1)であつて、人種、信条(※2)、性別、社会的身分(※3)又は門地(※4)により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
※1 法の下の平等:法のもとではすべての人が平等であり差別を受けないこと
※2 信条:宗教信仰や政治思想
※3 社会的身分:生まれによって決定される人の地位
※4 門地:家柄
憲法では、すべての国民が「法の下の平等」であることを確認しています。
さらに、人が生まれつきにもっている肌の色や性別、身分、身体の障がいなどを理由とした差別を受けないことを保障しています。
日本には、「男は仕事、女は家庭」という男女の役割分担意識が根強く残っています。
女性は家事、育児、介護など家庭の負担が大きく、社会参加をさまたげています。
女性議員の数が少ないこと、専門職や管理職に就職する女性の割合が少ないことが問題です。
1999年には、男女ともにあらゆる分野で責任を担い協力する社会を目指す「男女共同参画社会基本法」が成立しました。
女性や障がいのある人への差別をなくしていくことが今後の課題となります。
自由権
自由権は、国家からの不当な干渉や妨害から個人の自由を保障する権利です。
自由権には、「精神の自由」、「生命・身体の自由」、「経済活動の自由」の3つがあります。
精神の自由
精神の自由は、心の中で考えることやそれを外部に表現することを保障しています。
思想・良心の自由 | 第19条 | 個人の主張は内心にとどまる限り処罰されない |
信教の自由 | 第20条 | 宗教を信仰する権利・宗教を信仰しない権利 |
表現の自由 | 第21条 | 集会や出版を通して自由に自己を表現できる権利 |
学問の自由 | 第23条 | 学問や研究を行う権利 |
例えば、表現の自由には出版の自由があります。
かつては、国が自分たちに不都合な内容を切り取ることなどが行われていました。
現在は、国が中身を検閲(そのままでよいか調べる)することはできません。
人が正しいと思うことを自由に言えるように保障されています。
生命・身体の自由
生命・身体の自由は、理由もなく身体を拘束されないことを保障しています。
奴隷的拘束・苦役からの自由 | 第18条 | 人格を無視した身体の拘束の禁止
意思に反した強制労働の禁止 |
法定手続きの保障 | 第31条 | 刑罰を科すためには法律で定めた適正な手続きをとらなければならない |
逮捕の要件 | 第33条 | 現行犯逮捕以外は、裁判所の令状がなければ逮捕されない |
拘留・拘禁の保障 | 第34条 | 弁護人を依頼できる |
住居の不可侵 | 第35条 | 住居侵入・捜査・押収は令状がなければ侵されない |
拷問・残虐刑の禁止 | 第36条 | 肉体的な苦痛を与えての自白を禁止 |
刑事被告人の権利 | 第37条 | 公開裁判を受ける権利
弁護人を依頼できる |
黙秘権の保障 | 第38条 | 自分に不利益な供述は強要されない |
罪を犯してしまった人には、法律によって定められた手続きをとらなければ、刑罰を科せられません。
裁判所の令状(逮捕状)がなければ逮捕できないこと、取り調べのときに拷問を禁止するなど、生命・人体の自由が保障されています。
経済活動の自由
経済活動の自由は、自分の意思で契約したり、財産を所有したりすることを保障しています。
居住・移転・職業選択の自由 | 第22条 | 公共の福祉に反しない限り、居住・移転・職業選択は自由 |
財産権の保障 | 第29条 | 公共の福祉に反しない限り、財産権を保障 |
経済活動の自由によって、あこがれの仕事をしたり、好きな場所に住んだりできます。
社会権
社会権は、人間らしい生活を求める権利です。
生存権 | 第25条 | 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利 |
教育を受ける権利 | 第26条 | 能力に応じて等しく教育を受けられる |
勤労の権利 | 第27条 | すべての人に働く機会を与える |
労働三権 | 第28条 | 団結権、団体交渉権、団体行動権 |
生存権を定めた憲法第25条は、テストでよく出題されるから、暗記しましょう!
「第25条 ① すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
病気、災害、失業などで自立した生活ができなくなった人に、必要な援助を行っています。
その一つの「生活保護」は、収入が少なく、最低限度の生活を営むことができない人に生活費などを給付する制度です。
だれもが学校で教育を受けられるように、9年間の義務教育を無償とし、教科書が無償で与えられます。
また保護者には、子どもに義務教育を受けさせる義務があります。
基本的人権を守るための権利
国民が安心して暮らしていけるように、人権を守り発展させていくための権利として、「基本的人権を守るための権利」というものがあります。
具体的には、参政権、請求権というものです。
それぞれの権利はどういったものなのか見ていきましょう。
参政権
参政権は、政治に参加できる権利です。
選挙権 | 第15条 | 国会議員、地方議員、首長を選ぶ |
被選挙権 | 第44条 | 国会議員、地方議員、首長に立候補できる |
最高裁判所裁判官の国民審査 | 第79条 | 裁判所のはたらきを監督する |
憲法改正の国民投票 | 第96条 | 憲法改正の是非を問う |
国民主権に基づいて、選挙を通じて政治に参加できるだけではなく、国民が自ら重要なことを決定することも保障されています。
選挙権は、満18歳以上のすべての男女に与えられています。
これにより、若者の意見を政治に反映させることができるようになりました。
しかし、若者が政治に関心をもたないことが課題になっています。
請求権
請求権は、人権が侵害されたときに、その救済を保障される権利です。
国家賠償請求権 | 第17条 | 公務員の不正行為によって損害を受けたとき、国や地方自治体に損害賠償を求めることができる |
裁判を受ける権利 | 第32条 | 自分の権利が侵害されたとき、裁判所で公正な裁判を受けることができる |
刑事補償請求権 | 第40条 | 裁判で無罪になった人が国に補償を求めることができる |
逮捕された後に、裁判で有罪か無罪か正しい判断を受けることができます。
「えん罪」によって逮捕されたときは、自由を制限されていた期間の補償がされます。
再審で無罪となる事件もあるため、えん罪を防いでいくことが重要です。
新しい人権
現代では、情報化などの社会の変化に合わせて、個人や生活を大切にするための「新しい人権」が主張されるようになりました。
新しい人権には、環境権、知る権利、プライバシーの権利、自己決定権があります。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
まとめ
基本的人権の5つ、平等権、自由権、社会権、参政権、請求権は理解できましたか?
社会の変化に合わせて人権の保障が広がり、わたしたち個人は守られています。
5つの基本的人権をしっかり確認しましょう!
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